いずこも同じ

送迎バスでの子どもの置き去り

3月になりました。メルボルンは日本とは季節が逆なので、日本で言うところの9月に入ったという感じでしょうか。日本の9月といえば残暑ですが、こちらは朝晩は涼しく、時に寒く、昼間も20度を少し超えるくらいの陽気です。ただ、お日さまの下ではじりじりと焼けるような暑さを感じます。そのため、車の中は要注意です。

今朝のABC Breakfastで、今日3月1日から子どもの送迎に関するあらたな規則が運用されると報じていました。日本でも送迎バスなどの中に放置され、幼い子どもたちが命を落とすという痛ましい事件が何度となく繰り返されていますが、こちらでも事情は同じのようです。そのため、オーストラリア政府は、子どもの送迎にあたり、サービス提供者は、(1)子どもたちの乗り降りをきちんと観察すること、(2)車内に子どもたちが残っていないことを確認すること、(3)これらをきちんと記録に残すことなどを法律で義務化しました。次の記事は、サウスオーストラリア州のウェブサイトに掲載されたものです。

www.esb.sa.gov.au

日本では、厚生労働省から「こどもの出欠状況に関する情報の確認、バス送迎に当たっての安全管理等の徹底について」という文書が昨年2022年11月14日に事務連絡として通知されていますが、その実行は関係者に委ねられている状況です。置き去り防止装置の設置なども話題にのぼっていますが、それを運用するのも担当者です。事故を防ぐ実効性のある措置を期待せずにはいられません。

公的施設における人のあつかい

日本とオーストラリアで類似の事件ということで、もう1つ記録しておきます。

スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが収容されていた名古屋の入管施設で亡くなった事件は裁判がつづいており、みなさんの記憶にも新しいと思います。なぜ体調を崩したサンダマリさんに適切な治療を行えなかったのか、今なお疑問がつきません。

ここビクトリア州でも同様の事件が2020年1月に起こっていたと、1月末に報道されました。

www.abc.net.au

亡くなったのは、ヴェロニカ・ネルソンさんで、ファーストネーションズの方でした。サンダマリさん同様、公的施設(ネルソンさんは刑務所)に拘留中に、体調を崩したものの、適切な治療が施されずに命を落としてしまったという事件です。報道された当日は、私の自宅近くにあるビクトリア州検死法廷(Coroners Court of Victoria)前でデモも行われました。当日、ここを通りかかったところ、彼女へのメッセージが掲げられていました。

ベロニカさんへのメッセージ

公的な権力は、一歩間違えると人の命にも関わります。自らの持つ力を自覚し、人びとに対し精一杯心配りすることが大切です。もちろん、このことは公的権力であるかどうかに関わらず、私たち市民、一人ひとりにもあてはまるでしょう。今回、2つのできごとをつうじて、あらためて心に留めたいと思います。