オーストラリアの住宅事情

毎度のことですが、今朝のABC Breakfastを視聴していたところ、メルボルン郊外の街カルカロ(Kalkallo)の交通渋滞について紹介されていました。このことは、すでにChannel 9のウェブサイトで1年ほど前に報じられていました。

9now.nine.com.au

この記事によると、カルカロには6,000人が住んでいる(計画では3万人になる)にもかかわらず、街の出入り口が1箇所しかなく、車で1kmを進むのに1時間もかかるのだそうです。今朝のニュースでもそのようすが放映されていました。

これにはいろいろな要因があるのでしょう。例えば、私が最初に気になったのは、放送でもちらほらと映っていたラウンドアバウトです。信号機のない交差点であるラウンドアバウトは、右方向からの車が優先されます。そこが幹線道路の場合、車がひっきりなしに通過するため、側道から入るのが難しくなります。朝の通勤時間に、幹線道路へ出るところが1箇所しかなく、さらにそこがラウンドアバウトですと、滞るのは当然ではないかという推測です(当たっていないかもしれません...)。

また、住宅価格の高騰も考えられます。私がメルボルンに来てから、たびたび耳にするのがこの問題です。メルボルンでは人口の増加に伴い、郊外に住宅地が拡大しています。比較的遠くまでメトロが走っているので、メルボルンのCBDに通勤するとしても、最寄りの駅まで車で行ければ、比較的容易に通勤できると思います。とはいえ、住宅需要が高ければ、その価格も当然上がっていきます。また、需要に比べ、住宅の供給も小さいことも影響しているようです。友人の話では、ここ最近、その価格上昇のスピードが高まっているとのことです。

ニュースでは、公共交通機関の不足にも触れられていました。新しく開発された郊外の住宅地は、公共交通機関の駅やバス停から遠かったり、電車やバス自体が運行されていなかったりします。そのため、最寄りの駅やバス停までは必然、車での送迎が必要になります。

先の住宅価格に関連して、賃料の高騰も問題になっています。アジア経済ニュース(NNA)の記事「【オーストラリア】豪主要都市の住宅賃料、提示価格が2.4%上昇」(2023年2月16日)がYahoo! Japanのニュースに掲載されていました。

news.yahoo.co.jp

最近では、新型コロナウイルスが落ち着き、海外の学生(いわゆる留学生)がオーストラリアに戻り始めているのですが、大きな問題の1つに住宅の確保があります。住宅賃料の高騰は、物価高と同様、海外からの学生(とその家族)の頭痛の種となっているようです。

もちろん、賃貸住宅を求めているのは、大学生だけではありません。賃料の高騰に伴い、シェアハウスを求める人が増えているのですが、そのシェアハウスですら見つけるのが一苦労であるという記事もあります。

www.abc.net.au

 

ところで、オーストラリアで賃貸物件を探すとき、ほぼ必須なのが内覧(inspection)への参加です。不動産会社はウェブサイトに物件の概要と内覧日を掲載します。関心のある人は、事前に内覧を申し込み、内覧日に物件を訪れ、気に入ったら賃貸の希望を申し出ます。最近は、この内覧に参加する人がとても多くなっている、つまり競争が激しくなっており、無事契約までたどりつくのが至難の業となっているようです。そうしたツイートをよく見かけます。

私も同様に、希望する複数の物件の内覧を申し込んで、物件を探しました。そのうちの1つに申し込んだところ、半年の賃貸は行っていないが、同じマンションに別の物件があるのでそちらはどうかと提案され、ウェブサイトに広告が出る前に契約できました。特殊な例であるかどうかはわかりませんが、ある意味、賃貸物件難民にならずラッキーでした。

一方、住宅購入の場合、オークションが行われます。希望する人が内覧を経て、希望する価格で入札するのです。オークション前に希望入札価格以上を提示して契約するという裏技もあるようですが、割高になることは否めません。

ここまで記した内容は、あくまで私個人が半年ほど、メルボルンで生活して見聞きしたことです。これら以外にも、さまざまな事情が重なって、冒頭の交通渋滞を引き起こしているのではないかと推測しました。住心地の良い街と評判のメルボルンの別の側面を考えさせるニュースでした。

最後に、ここまでのまとめとなるような2023年2月11日付けの記事“Race for space: Melbourne's ‘hellish’ housing Hanger Games”を1本紹介しておきます。

www.theage.com.au