全豪オープン3日目に行ってきました(その1)

長くなりそうなので2回に分けます。

全豪オープンが3日目を迎えました。初日16日の初戦を突破した選手の2回戦が行われました。今日(といっても実際は昨日)も、ロッド・レーバー・アリーナの昼の部のチケットをとり、観戦してきました。観戦した試合は次のとおりです。

  • 女子シングルス Iga Swiatek (ポーランド)- Camila Osorio (コロンビア)
  • 女子シングルス Jessica Pegula (米国) - Aliaksandra Sasnovich (ベラルーシ
  • 男子シングルス Rafael Nadal (スペイン) - Mackenzie McDonald (米国)

今日の予定は、女子シングルス世界ランク1位で第1シードのシフィオンテク選手の試合を観戦することでした。が、期せずして初日にも観戦したナダル選手が第3試合に登場しました。そして、この試合で「事件」は起きました。

この日は初戦を突破した西岡良仁選手と綿貫陽介選手が第7コート第3試合、第4試合に設定されていました。そのため、私の当初の計画は、アリーナで女子シングルス2試合を観戦したのち、第7コートに移動して西岡、綿貫両選手の試合を観戦するというものでした。

ところが、今日はあいにくの雨。気温も20度に届かず、とても寒い1日でした。そのため、屋外コートで予定されていた試合は開始が見合わされました。それでなくとも、前日(2日目)も雨天のためすべての試合が消化できず、翌日に延期(suspended)となったり、日程の再調整(rescheduled)が行われたりしました。選手のみなさんにとっては当たり前のことなのかもしれませんが、試合を目前に控えた中での対応は大変であったろうと想像します。

他方、アリーナは屋根付きなので天候の心配はありません。そのお陰もあって、昼の部に予定されていた3試合をすべて観戦できました。また、午後からは順次、屋外の試合も再開され、西岡選手の試合も最初から見ることができました。

さて、アリーナの第1試合はシフィオンテク選手が6-2、6-3のストレート勝ちで、3回戦に進みました。シフィオンテク選手の左右の打ち分けに対し、オソリオ選手が何とか返すという印象でした。数字だけを見るとシフィオンテク選手が圧倒した感じですが、第1セットでオソリオ選手が獲得した2ゲームは、いずれもシフィオンテク選手からのブレイクでした。ただ、自身のゲームも4ゲームをブレイクされました。シフィオンテク選手は今後に向けて徐々に調子を上げていくという作戦でしょうか。オソリオ選手も自身のゲームをキープできたら、おもしろい試合展開になったのではないかと思いました。

ところでこの日の席は、Section26、KK列、653というシートで、最上部の席から数えて6番目の後ろの方の席でした。お値段は99ドル。一昨日の席に比べたら、選手との距離は2倍以上もあり(と感じ)、迫力には欠けましたが、それでも試合の雰囲気、選手の動きを身近に感じることができました。なお、アリーナの席は、通路側2席は、それよりも内側の席に比べ若干高めに設定されていました。私の席は通路側の席から数えて3番目でしたが、お隣は119ドルで、20ドルの差がありました。観戦にはほとんど差はありませんが、利便性の違いでしょうね。

第2試合は第3シード(世界ランク3位)のペグラ選手がサスノビッチ選手に2-0で勝利しました。第1セット第1ゲームで相手のゲームをブレイクしたペグラ選手が6-2で第1セットをとりました。第2セット第1ゲームもペグラ選手がブレイクしこのままの展開かなと思いきや、徐々にサスノビッチ選手が調子を上げ、ペグラ選手のゲームを2度ブレイクしました。ペグラ選手ももう1ゲームブレイクバックし、第2セットはタイブレイクにまでもつれ込みました。タイブレイクも一進一退でしたが、僅差でペグラ選手が勝ち進みました。

そして第3試合、ナダル選手の登場です。相手は世界ランク65位のマクドナルド選手でした。試合は3-0で、マクドナルド選手のストレート勝ちでした。

マクドナルド選手の切れ味の鋭いサーブや際どいコースを狙うストロークに、ナダル選手も苦戦していました。第1セット第1ゲームで、マクドナルド選手がナダル選手のゲームをブレイクしたところからもそのようすが窺えました。第1セットをとったマクドナルド選手はその勢いに乗り、第2セット第1ゲームもブレイクしました。もしや、と予感させる展開です。ただ第4ゲームでナダル選手がブレイクバックに成功すると、徐々にマクドナルド選手にプレッシャーを与えるようなストロークが展開されていったように感じられました。が、第7ゲームを再びマクドナルド選手がブレイクすると、次の第8ゲームで「事件」が起きます。

第8ゲームの冒頭からコートサイドのチーム関係者となにやら話をしていたように見えました。その後、ゲームの途中で左足の付け根を手で押さえてかがみ込む場面もありました。左足も心なしか引きずっているようにも見えました。このゲームを終えたのち、ナダル選手は一旦コートから下がって治療を受けます。このまま不戦敗かと思いきや、ナダル選手、戻ってきました!

その後のナダル選手のプレイは、素人目からしても、決して万全な状態でのものではありませんでした。が、そこからのナダル選手の試合運びもまた、ある意味圧巻でした。マクドナルド選手も疲れが見えてきたのでしょうか、それともナダル選手のことが少しでも気にかかっていたのでしょうか、次第にボールの勢いやキレが衰えていった印象があります。そのような中、ナダル選手は最小限の行動で、最大限の効果を発揮します。怪我を負ってはいても、動ける範囲が限られていたとしてもなお、ポイントをとることができる、すばらしい技術と精神力の持ち主だなと思わずにはいられませんでした。今後のシーズンを考えると、試合を止め、すぐにでも治療を受けるべきと思いますが、ナダル選手はアリーナに集まったファンをはじめ、すべての人にテニスのプレイで応えるという自身の矜持を保ったのだと思います。そのようにプレイで語るナダル選手にあらためて大きな拍手を送りたいです。すばらしい試合をありがとうございました。

ナダル選手に勝利したマクドナルド選手は、西岡選手が2回戦を勝ち進むと次の対戦相手となります。実現するとどのような試合になるか、それも楽しみとなりました。

その2につづく。