世界陸上とその報道

7月16日に始まった世界陸上オレゴン大会も、今日で6日目となり、早くも半分の日程を終えました。日本代表の選手が出場する競技もチェックしながら、大会を楽しんでいます(映像をアーカイブしてくれているのでとても助かります)。日本代表チームで新型コロナウイルスの感染が広がり、出場できない選手が出ているのはとても残念ですが、選手のみなさんご自身が一番落胆していることと思います。早く良くなることを祈念しています。

さて、世界陸上を放送しているTBSでは、キャスターの織田裕二さんが海外の選手にも注目して、さまざまな情報を提供してくれています。その中に、女子走高跳ウクライナ代表、ヤロスラワ・マフチフ選手がいます。

マフチフ選手は、大会前までの世界ランク1位の選手です。ロシアによるウクライナ侵攻により、一時は競技を続けられなかったマフチフ選手でしたが、競技を続けることがウクライナの人々のためになるとして、この大会での活躍を誓っている、そのような内容が紹介されたことがあります(TBSのNews23の一部であったと記憶しています)。

昨日20日に行われた決勝は、マフチフ選手とオーストラリアのエレノア・パターソン選手との二人が最後まで金メダル争いを演じ、パターソン選手が優勝しました。今朝のオーストラリアのニュース番組では、パターソン選手の優勝が報じられました。

一方、昨晩のNews23(だっと思います)では、パターソン選手の優勝ではなく、惜しくも銀メダルに終わったマフチフ選手のことが大きく報道されていました。どこに焦点を当てるかはさまざまな文脈や背景のもとで決められるのでしょうが、優勝者ではなく、物語を持っている人に大きくフォーカスしていたことに違和感を覚えました。他の競技で、日本代表の選手に注目することとも通じるかもしれません。

もちろん、注目選手に焦点を当てることは自然なことと思います。また、その結果がどうなったのかは私自身も気になるので、時間を割いて報道してもらえるのはありがたいと感じています。同時に、他の競技者にも目を向けられるよう、バランスのとれた報道にも期待したいところです。

今日、この話題を取り上げたのは、報道批判ということではなく、たまたまオーストラリアにいて、オーストラリアのニュースに接し、日本のそれと異なることを体験した、そのことを記しておきたかったためです。